ちょっとマニアックで詳しすぎる婚姻届の書き方
登場人物
渡邊太郎
コピー機メンテナンス業者に勤めるサラリーマン3年目の21歳。
高校ではサッカー部のキャプテンで、マネージャの花子とは交際3年目。
調べ物はもっぱらネットの現代っ子。田舎育ちで、素朴な優しい青年。
高田花子
ホテルに努める受付1年目の19歳。
結婚するまでは手も繋がないという強い信念を貫いている。
頭の中はいつもお花畑が咲いている、夢見る少女。
婚姻届の書き方(同居をはじめたとき欄、初婚・再婚の別欄、同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の主な仕事と夫妻の職業欄、その他欄、届出人欄の署名と押印)
【第16話 同居を始めたとき欄の書き方】
太郎「次は同居を始めたとき欄です。」
花子「私たち同居してないけどどうなるの?」
太郎「結婚式を挙げたときか、同居を始めたときの早いほうを書くんだって。」
花子「同居か挙式をしなければ届け出できないの?」
太郎「同居も挙式もしてなければ、この欄は空欄でも良いんだって。」
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同居を始めたとき欄は、結婚式を挙げた月か、同居を始めた月のうち早い方を記入します。
和暦は省略せずに書きましょう。
結婚式も同居していない場合は何も書かず、「その他」欄に「同居も結婚式もしていない」と記入します。
【第17話 初婚・再婚の別欄の書き方】
太郎「次は、初婚・再婚の別欄です。」
花子「私たちは初婚だから、どっちも初婚にチェックすればいいのね。」
太郎「そうだね。」
花子「ちなみに、離婚歴がある人ばどう記入するの?」
太郎「死別か離別にチェックして、死別・離別した年月日を記入するらしいよ。」
花子「ここって、お互いの結婚歴を確認するための欄なの?」
太郎「いや、人口動態調査っていう国の調査に使われるらしいよ。」
花子「へ〜、そうなんだ」
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初婚・再婚の別欄は、初婚、死別、離別を記入する欄です。
過去に何度も離婚(死別)をしている場合は、直前の死別(離別)年月日を記入します。
死別・離婚日は死別・離別した当時の戸籍謄本に記載されていることがあります。
もし、正確な死別(離別)年月日がわからない場合は、わかる範囲で記入しましょう。
また、役所で調査をして、手続きを進めてもらえる場合もあります。
【第18話 同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の主な仕事と夫妻の職業欄の書き方】
太郎「次は、同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯のおもな仕事と夫妻の職業欄です。」
花子「長くて理解できません。」
花子「分かるように優しく説明して欲しい。」
太郎「僕たちはまだ同居していないので、今の仕事内容を書くらしいね」
花子「私は従業員数99人以下の企業で、常用勤労者だから「3」ね。」
太郎「僕は従業員数100人以上の企業で、常用勤労者だから「4」だね。」
花子「夫妻の職業欄は?」
太郎「国勢調査の年度だけ書くらしいね。」
花子「今年は調査の年じゃないから空欄でいいのね。」
花子「だけど、もし国勢調査の年だったらどう書くの?」
太郎「夫婦のそれぞれの職業を書くんだね。」
太郎「もし、分からなかったら、窓口で相談しながら記入もできるらしいよ。」
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次は「同居を始める前の夫婦のそれぞれの世帯のおもな仕事」欄についてです。
ここで注意しなければならないのが、「同居前の」「世帯の」となっている点です。
同居前に親と同一世帯(生計が一緒)であった場合は、世帯主の生計を維持していた人の、
同居前に一人暮らしであった場合は、本人の仕事内容をチェックします。
「夫婦の職業」欄については、夫婦の職業を記載します。
ここは国勢調査の年だけ記入する欄で、該当する年以外は記入が不要です。
(また、誤って記入してしまったとしても受理してもらえます。)
【第19話 その他欄には何を書く?】
花子「その他の欄には何を書くの?」
太郎「そこは調べたけど、良く分からなかった。」
花子「空欄でもいいのかな?」
太郎「いや、花子の場合は養子だから「妻の養母○○○○」と書かないとね。」
花子「あ、そうだったね。」
太郎「あと、花子は未成年だから両親の同意ももらわないと。」(※2021年4月現在)
太郎「「この婚姻に同意します。妻の父○○○○ 妻の母○○○○」と署名押印してもらうんだって。」
太郎「花子の場合は養子だから、「妻の母」でなく「妻の養母」になるね。」
(※成年年齢は2022年4月から18歳に改正されます。)
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「その他」欄は、欄に書ききれなかった事項などを記入します。
養父母がいる人はここに養父母の名前を記入します。
(記入例)「夫の養父 ○○○○」「妻の養母 ○○○○」など
また、婚姻する二人のどちらか(または二人とも)が未成年者の場合は親の同意が必要となります。
その場合、その他欄に「この婚姻に同意します」と記載し、未成年者の親が署名・押印します。
(記入例)「この婚姻に同意します。妻の父 ○○○○(印) 妻の母 ○○○○(印)」
同意は実の親だけでなく、養子になっている場合は養父母でも認められています。
親のどちらかが亡くなっていたり、連絡の取りようがない場合は、どちらか1名の同意でも認められます。
また、その他欄に書くほかに、同意書を添付することも認められています。
詳しくは届け出する市区町村窓口にお問い合わせください。
【第20話 いよいよ届出人欄に署名と押印をするぞ!】
太郎「さあ、届出人欄に署名、押印しますよ。」
花子「緊張しますね。」
太郎「署名は「婚姻前の苗字」で書いてくださいね。」
太郎「印鑑も「婚姻前の苗字」のものを押してね。」
花子「私が持ってるのは名前の印鑑だけど、いいんだよね。」
太郎「名前の印鑑でも、フルネームの印鑑でもいいらしいね。」
花子「この婚姻届を提出したら結婚できるのね。」
太郎「いや、婚姻する意思と婚姻届がそろって、初めて婚姻が成立することになるらしいよ。」
花子「えっ?何?どういうこと?」
太郎「婚姻するには、二人が意思と婚姻届のどちらも必要。当たり前のことだけど。」
花子「それなら、私たちは大丈夫だね。」
太郎「婚姻する意思のない人は、婚姻届を出したらダメってこと。」
花子「でも、もし偽造された婚姻届が勝手に出されたらどうなるの?」
太郎「個人情報を知られない限り、婚姻届の偽造は難しいと思うよ。」
太郎「でも、もし受理されてしまうと、無効にするには裁判所での手続きが必要なんだって。」
花子「それは大変だね。何か防ぐ方法ってあるの?」
太郎「そういう事を防ぐために、事前に手続きする不受理申出という制度があるらしいよ。」
花子「ストーカー被害とかあるもんね。そういう自己防衛の方法も覚えておくといいかもね。」
太郎「そうだね。」
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ハンコがない
「届出人署名押印」欄は必ず本人が署名し、本人が押印しましょう。
それぞれが婚姻前の苗字(旧姓)で署名し、印鑑も旧姓のもので押印します。
印鑑は印鑑登録している実印である必要はありません。
苗字の印鑑だけでなく、名前だけの印鑑も使うことができます。
認印も使用できますが、シャチハタなどのゴム印は使わないようにしましょう。
【不受理申出】
不受理申出制度は、本人の意思に基づかない届出が受理されることを防止するための制度です。
不受理申出の手続後であれば、本人が窓口に来たことが確認できない場合は届け出は受理されません。
詳しくは、お住いの市区町村にお問い合わせください。
次回、「第21話 連絡先は忘れずに書こう!」